4-3. 消化・吸収と栄養素の体内動態ー消化器系の構造と機能

消化の種類と消化管ホルモン

 栄養素を体内で利用可能な形に変換し、吸収するためには消化と吸収のプロセスが重要です。これには物理的消化、化学的消化、生物学的消化の3つの段階が含まれ、さらに消化管ホルモンによる調節も行われます。

1. 物理的消化

 物理的消化は、食品を細かな粒子に分解する過程です。これにより食物の表面積が増加し、消化酵素の作用を助けます。

2. 化学的消化

 化学的消化では、消化酵素によって栄養素が分解されます。主な消化酵素とその分泌場所は次の通りです。

  • 口腔:唾液中のアミラーゼによる炭水化物分解。
  • 胃:胃液中のペプシンによるタンパク質分解。
  • 膵臓:膵液中のアミラーゼによる炭水化物分解、リパーゼによる脂質分解。
  • 小腸:小腸液中の消化酵素による炭水化物、タンパク質、脂質分解。

3. 生物学的消化

 生物学的消化は主に小腸で行われ、栄養素の吸収が行われます。吸収は微絨毛上の細胞によって行われます。

消化管ホルモンの役割と分泌場所

 消化管ホルモンは消化・吸収プロセスを調節し、正常な消化を維持する役割を果たします。以下は主な消化管ホルモンとその分泌場所です。

ホルモン名役割分泌細胞名
ガストリン胃酸分泌促進、食事の誘発に関与G細胞(胃粘膜)
セクレチン膵液の分泌促進、胃酸分泌の抑制、十二指腸の運動調節S細胞(十二指腸粘膜)
コレシストキニン(CCK)膵液分泌促進、胆汁分泌促進、胃排出の抑制、食欲抑制I細胞(十二指腸粘膜)
ソマトスタチン消化酵素の分泌抑制、胃酸分泌の抑制、膵液分泌抑制膵ランゲルハンス島δ細胞(膵臓)

まとめ

 これらの消化プロセスと消化管ホルモンの調節により、栄養素は体内で効率的に利用可能な形に変換され、健康な体の維持に貢献します。バランスのとれた食事や健康的な生活習慣は、消化と栄養の吸収をサポートする重要な要素です。