1-4. 健康状態・疾病の測定と評価ー根拠(エビデンス)に基づいた医療(EBM)及び保健対策(EBPH)

疫学研究の種類とエビデンスレベル

 疫学は、疾患の発生や拡散のメカニズムを研究するための重要な方法論です。社会・環境と健康の分野においても、さまざまな疫学的研究が行われています。以下では、主な疫学研究の種類について説明と、エビデンスレベル順の表をまとめました。

疫学研究の種類説明エビデンスレベル順
介入研究(Intervention Studies)特定の介入や干渉を行い、その効果を評価。健康プログラムや治療法の効果を検証し、健康増進に向けた手法を探求する。I
コホート研究(Cohort Studies)特定の人々の集団(コホート)を長期的に追跡。リスクファクターと疾患の発症との関連性を調査し、因果関係を明らかにする。II
症例対照研究(Case-Control Studies)既に疾患を発症した人々(症例)と健康な人々(対照)を比較。因果関係を探求し、疾患のリスクファクターを特定する。II
横断研究(Cross-Sectional Studies)特定時点での健康状態やリスクファクターを調査。健康問題の現状を把握し、異なる人口集団間での違いを検出する。III
生態学的研究(Ecological Studies)集団レベルでの疾患と環境の関連を調査。環境要因と健康の結びつきを分析し、疾患の地理的な分布に光を当てる。III
記述疫学(Descriptive Epidemiology)疾患の発生頻度や分布を記述し、傾向やパターンを明らかにする手法。地域や人口の特性を把握し、リスクの基盤を築く。IV

まとめ

 これらの疫学的研究は、健康問題や疾患のメカニズムを理解し、健康政策の策定や健康増進に貢献しています。社会と環境の健康への影響を科学的に評価するために幅広く活用されています。